肉・魚&野菜の正しい加熱方法

 

肉・魚の加熱方法

 

低速で「肉・魚」を加熱する目的
  1. 水分保持(ジューシーさを保つ)
  2. 素材を加熱すると40℃〜55℃で細胞が収縮して水分が放出される。
    水分を保たせる為には、この温度帯を緩やかに通過することが大事。

  3. アクと臭みを出す
  4. 素材のアクと臭みがでるのが40℃〜60℃。細胞外を循環する水分に含まれる。
    細胞外水分(代謝成分)を出すには、この温度帯を緩やかに通過することが大事

  5. 旨みを引き出す
  6. 旨みとは、タンパク質が加熱されて分解され、アミノ酸に変化したもの。
    この変化する温度が60℃〜75℃である為、素材内部が70度になるのを目標に
    ゆっくりと加熱し、タンパク質を十分に分解してアミノ酸に変える。

 

「肉・魚」加熱時の注意点
  • フライパンを180℃にする時は、強火1分ではなく弱火3分でゆっくり温めること。
  • 弱火は炎の先っぽが、なべ底との距離の半分くらい。中火は炎がなべ底に触れる。
  • 焼くと時も煮る時と同様にアク(代謝成分)が出るので、ペーパーでふき取ること。
  • アクは溜まるとフライパンの温度が上昇しないので、焼き色がつきにくくなる
  • 後半に出てくる水分は旨みなので、ソースに利用してよい。(但し殆ど出ない)
  • 肉に火が入り始めるのは、生体温度(常温)を超えたあたりから。(牛は約40℃)
  • メイラード反応(アミノ・カルボニル反応)も生体温度(常温)を超えたあたりから。
  • メイラード反応は旨み成分や香味成分を生成するので、ゆっくり加熱がよい。
  • 焼き色は約180℃でつく為、弱火〜中弱火をキープしフライパンを180℃で維持する。
  • 表面の焼き色は、火入れが完了して最後につければよい。

 

 

野菜の加熱方法

 

低速で「野菜」を加熱する目的
  1. 水分保持(ジューシーさを保つ)
  2. 野菜から水分が出るのは、細胞膜であるペクチンが70〜75℃で分解される為。
    強火で急速に加熱すると、細胞膜が壊れて水分が大量に流出してしまう。
    (※中華鍋で強火で炒めた野菜は、時間が経過すると水分が大量に出てくる)
    緩やかに加熱すると、細胞膜が壊れず一定量以上の水分が出てこなくなる。
    その為、シャキシャキとした歯ごたえと瑞々しさが残る。

  3. 甘みを引き出す
  4. 野菜の甘みは7〜10分ぐらいかけて糖転化が進み、ジワジワと生まれてくる。
    弱火で10分炒めたもやしは、冷めて3日経ってもシャキシャキ感と甘さが残る

 

 

「野菜」加熱時の注意点
  • 人参などの根菜類は湯通しして、予熱しておくとよい
  • 油の量は食材の7%が目安。肉は別で計算する
  • 塩の量は食材の1%が目安。肉も加味して計算する
  • 野菜を炒める適温は130℃、肉・魚を焼く適温は180℃
  • フライパンは弱火でも1分ほどで表面温度が100℃を超える。
  • 必ず冷たいフライパンに野菜を入れて、油をまぶしてコーティングしておく
  • フライパンの表面温度はMAX130℃を目安にする。基本は弱火をキープ
  • 「シューッ」と音がして小さい泡が発生したらフライパンが100℃に達した証拠
  • 「シューッ」という音をキープしながら2〜3分に1回のペースで上下をひっくり返す
  • 炒め時間はどの野菜でも10分が目安。ラスト2分で肉を投入し塩を全体に振る
  • 回鍋肉のようなタレを使う場合は、ラスト20秒で強火にして合わせ調味料を投入

 

野菜炒めの基本手順

 

●食材

 

食材 必要量
豚肩ロース薄切り 60g
もやし 120g
人参 60g
キャベツ 60g
パプリカ 60g
ピーマン 20g
きくらげ 30g

 

●調味料

 

調味料 必要量
2g
こしょう 適量
醤油 6g
日本酒 8g
サラダ油 大2※野菜用
ゴマ油 小1※仕上用

 

●調理時のポイント

  • サラダ油は大1(12g)なので大2で24g。野菜の総重量(350g)に対して7%の量
  • 豚肉は180℃ほどで1分ほど焼いて。水分やアクはペーパーでふき取る
  • 野菜を炒める前にフライパンをペーパーでキレイにして冷ましておく
  • フライパンに野菜類とサラダ油を入れて絡めて全体に敷き詰めて弱火にかける
  • 炒め時間は10分が目安。2〜3分に一度上下を返し水分・油をふき取る。
  • ラスト2分前で豚肉を入れて、日本酒・塩も入れる。弱火で2分弱炒める。
  • ラスト20前で強火にし、コショウ・醤油・ゴマ油を加えて混ぜて完成。
  • 醤油は大1(18g)で3g。塩加減は体液に近い1%以内が目安。
  • 塩分は総重量(野菜+肉)に対し7%に設定。野菜のかさが減る分を考慮。

 

●塩加減について
<塩分量>
塩 大さじ一杯(15g)=15g、 醤油 大さじ一杯(18g)=3g、味噌 大さじ一杯(18g)=2.2g、ウスターソース 大さじ一杯(18g)=1.4g、トマトケチャップ 大さじ一杯(15g)=0.5g、マヨネーズ 大さじ一杯(12g)=0.2g

 

参考:調味パーセントの考え方