豚ロース肉の下処理3つのポイント

 

豚肉の数ある部位の中でも、ポークステーキや豚カツなど豚肉の味をより味わえるのが
「ロース」です。ただ、ロース肉を美味しく調理する為には、下処理や加熱調理時に
いくつか覚えておくべきポイントがあります。

 

今回は、それらのポイントについて、詳しく解説したいと思います。(^ ^)

 

 

 

 

 

1: 下処理時の3つの注意点

 

豚ロース肉を美味しく調理するためには、調理前の下準備がとても重要です。
とはいえ難しいことではなく、下準備で覚えておくべき点は次の3つです。

 

豚ロース肉の下処理

  1. 加熱前に室温に戻しておく
  2. 筋繊維を断ち切っておく
  3. 塩を振って下味をつける

 

@ 加熱前に室温に戻しておく

 

豚肉は調理前に冷蔵庫から取出し、室温に戻しておきましょう。豚肉を冷たいまま
加熱してしまうと、肉表面に先に火が通ってしまい、中心部に火が通るのに時間が
かかってしまいます。すると、表面が焦げてしまい上手に仕上げることができません。
加えて、加熱時間が長くなるほど、肉に含まれる旨み成分が流れ出てしまいます。

 

厚さ1.5c〜2cmほどの豚ロースであれば、冷蔵庫から取出して30分〜1時間ほど
室温に置いておくと良いでしょう。その間に、次に説明するAとBの下処理を
済ませておけば、調理する頃にはちょうどよい温度になります。

 

A 筋繊維を断ち切っておく

 

豚ロースを焼く・揚げるなど、どのような加熱調理をする場合においても共通して
行う下処理が、肉の筋繊維を断ち切っておくことです。豚ロースはそのまま加熱すると、
筋繊維タンパク質が固まることで、肉の外側が反り返ってしまいます。それを防ぐ為に
包丁の刃先を使って、しっかりと筋繊維を断ち切っておくことが重要です。
筋をキチンと断ち切っておくと、焼き縮むことなくキレイな仕上がりになります。

 

肩ロースは赤身部分に脂肪が混ざり合っており肉質も硬いため、細かく筋切りをします。
通常のロースは赤身と脂肪がハッキリ分かれており肉質も柔らかい為、赤身と脂肪の
境目の部分のみ切れ目を入れれば十分です。切れ目を入れる間隔は1〜2cmです。
あまり切れ目を入れ過ぎると、そこから肉汁が流出するので最小限に留めるのが肝です。

 

B 塩を振って下味をつける

 

キッチンペーパーなどで肉の水分を拭き取ったら、肉の重量の1%を目安にして
調理の30分前〜1時間前に塩を振ります。肉の厚みによって塩の量が変わる為、
厚み2cm以上の場合は、「少し多いかな」と感じるくらいの方が美味しく仕上がります。

 

塩を振るタイミングは、調理の直前に振ることが重要です。塩を振る際は、30センチ程の
高さから均等に降るようにすると良いでしょう。あまり早く塩を振ってしまうと、旨みを含む
肉の水分が必要以上に流れ出てしまい、肉もパサパサになります。

 

塩は必ず両面に振ります。コショウを同時に振る場合は、振り過ぎに注意します。
塩は水溶性の為、時間が経つと肉の水分に溶けて加熱調理時に蒸発しますが、
コショウは水に溶けない為、多く振り過ぎると加熱時に焦げてしまいます。

 

下処理まとめ(@〜B)

まとめると、冷蔵庫にある豚ロース肉をこれから取りだしてから調理するのであれば、
「@常温に戻す→A筋切り→B振り塩」の一連の作業を、冷蔵庫から取出し後、
30分程で行うようにすると、良いタイミングでに加熱調理に移ることができます。
(肉が厚い場合は、冷蔵庫から取出して1時間後位に調理開始できると良いです。)

2: 加熱調理時の3つの注意点

 

豚ロース肉の下処理が完了したら、いよいよ加熱調理となりますが、
豚ロースを焼く・揚げる場合には、注意するポイントが更に3つほどあります。
味や衛生面に関わる部分もありますので、ぜひ次の3点を守りましょう。

 

加熱調理時に注意すべき3点

  1. 水分をしっかり拭き取る
  2. 高温短時間で仕上げる
  3. 中までしっかりと火を通す

 

@ 水分をしっかり拭き取る

 

ポークステーキやトンテキ等、豚肉を焼く時にうまくカリッと焼けない原因は、
肉表面の水分が十分に拭き取れていないことが多いです。ですから、
肉に振り塩を行う前には、キッチンペーパー等でしっかりと水分をふき取ります。
その後すぐに塩を振り、ポークステーキであれば間髪いれずに小麦粉をはたく、
豚カツであればパン粉をまとわせます。

 

A 高温短時間で仕上げる

 

豚肉に限らず、肉は低温長時間で焼くほど、肉の旨みやジューシーさが水分と
共に流出し、パサパサとした仕上がりになってしまいます。ですから、ソテーの場合、
フライパンであれば前半は中火〜強火で肉表面を高温短時間で焼き固めたら、
後半は弱火で短時間で火を通しましょう。オーブンであれば200℃前後の温度で
最初から最後まで通しで焼き上げても構いません。

 

豚カツなどの揚げ物の場合、180℃ほどの油で揚げるとカラッと仕上がります。
長時間揚げすぎていると、肉に火が入り過ぎて水分も抜けてパサパサとした
食感となり美味しさが半減します。慣れてきたら余熱をうまく利用することで、
衣はサックリ、中はシットリ仕上げることができるようになります。

 

B 中までしっかりと火を通す

 

牛肉などは生で食べることもできますが、豚肉は寄生虫や病原菌がいる可能性も
考えられるため、完全に火を通すことが必須となっています。豚ロースを厚切りで
焼いたりする場合、肉表面は強火で焼き固めたら、その後は弱火でじっくりと焼くか、
またはオーブンで中にキッチリと火を通すことを心掛けましょう。

 

肉の中心温度を計測する場合は、68℃以上であることを確認しましょう。
大量調理では、75℃以上が規定されていますが、国内産の豚肉であれば
68℃を超えていてれば食中毒は防げます。逆に68℃から温度が上がれば
上がるほど、肉の水分が蒸発しパサつき始めますので気を付けましょう。

3: 通常のロースと肩ロースの違い

豚肉の代表的な部位として、「ロース」と「ヒレ」がありますが、ロースの部位については
肩ロースと(通常の)ロースの2つに分類されます。それぞれ味に特徴がありますので、
参考までにご紹介しておきます。

 

肩ロース肉

 

肩ロースは肩に近い部分で、通常のロース肉よりも脂肪が赤身に混ざり合っており、
肉質も弾力があり旨みが濃いのが特徴です。値段も通常のロースよりも多少割高に
なりますが、豚肉の味わいをより重視するのであれば、肩ロースがオススメです。

 

レストランやとんかつ屋で使用される豚ロース肉といえば、大抵肩ロースであることが
多く、その理由としてはトンテキや豚カツなどの焼き物・揚げ物はやはり肩ロースで
作った方が美味しいからだと考えられます。

 

通常のロース肉

 

家庭でも一般的な(通常の)ロース肉は、赤身と脂肪がハッキリと分かれており、
肉質も肩ロースに比べると柔らかいのが特徴です。値段もお手頃であり、
ポークソテーや豚カツ、トマト煮込みなど幅広く調理することができます。

 

また、赤身部分は脂肪が混ざり込んでいないので、しゃぶしゃぶにも使えますし、
ハム等の加工品に使われるのも通常のロース肉が一般的です。
ただし、肩ロースと比べると、やはり冷めた時にパサパサして硬くなりやすい為、
調理後は可能な限り早く食べることをオススメします。

4: まとめ

 

豚ロースは、豚バラや豚小間などに比べると、下処理や調理時にポイントがあります。
そのポイントが味や仕上がりに大きく影響しますので、ぜひ実践して頂ければと思います。

 

ぜひ、豚ロース肉を扱えるようになって、色々な豚料理を作ってください。(^ ^)