給食調理員の給与事情は?初任給や昇給ペースの真相
「給食調理員は給与が低い」というイメージがあるようですが、事実はその通りです。
一般のサラリーマンと比べると当然低いですし、他の飲食業の仕事に比べても
低水準だと言えます。但し、給与が低いのには明確な理由があります。
ここでは、給食調理員の給与に関して、その内容を詳しく解説します。
合わせて、管理人の入社当時の給与と、現在の給与も参考にご紹介します。
ぜひ、給食調理員への就職を考えている人は、参考にしてみてください。(^ ^)
:目次:
1: 給食調理員の給料の現実
1.1 一般会社員より大分低い
1.2 飲食業界の中でも特に低い
1.3 私の初任給&現在の給与
2: 給食調理員の給料が低い原因
2.1 総労働時間が少ない
2.2 残業代・賞与が出ない
2.3 昇給ペースが遅い
3: 給料を上げる為にすべき事
3.1 調理師資格を取得する
3.2 店長(チーフ)に昇格する
3.3 給与の高い会社へ転職する
4: 給料の低さを補うメリットは?
4.1 昼食代が安い(まかない)
4.2 消耗品が無料支給(服・靴)
4.3 飲み会がほぼない
5: まとめ
1: 給食調理員の給料の現実
まずは、給食調理員の給料について、
「一般のサラリーマンと比べてどうか?」
「飲食業界の中ではどうか?」
といった二点から確認していきます。
1.1 一般会社員の給料より大分低い
例として、一部上場の大企業に勤めているサラリーマンと比べると、格段に低いです。
給食調理員の年収はざっくり計算すると、200万円(月給16万円・賞与なし)から
400万円(月給30万円・賞与あり)の範囲に収まる方が大半だと言えます。
一般の大企業では、年収400万円というと20代で到達してしまう金額ですが、
給食調理員が年収400万円に到達するにはハードルがとても高いのが現実です。
その詳しい理由については、後述します。
1.2 飲食業界の中でも特に低い
給食調理員の給料は、飲食業界の中でも特に低いレベルに位置するといえます。
飲食業界で給与の高い職として、居酒屋チェーンやファミリーレストランチェーンなどの
営業時間が長い飲食店の店長職が代表的です。給与の増減は、勤務時間や
勤務日数が大きく関係してくる為、給食調理員の給料が低いのはある意味当然
なのかもしれません。
1.3 私の初任給&現在の給与
管理人が最初に就職した給食会社での初任給と、現在勤めている会社の月給
を比べてみました。ちなみに、現在は就職時の会社とは別会社に勤務しています。
これから給食調理の世界を志す方の参考になれば幸いです。
就職時(調理補助)
従業員数100人程の給食会社に就職しました。主に、企業や学校の食堂給食事業を
展開しており、配属されたのは大手企業の社員食堂で給与体系は次の通りです。
※ちなみに、調理未経験・調理資格なしでもOKの会社でした。
- 雇用形態:契約社員
- 月給:19万5,000円
- 賞与なし
定期昇給額は毎年3,000円〜5,000円程度です。加えて、店長(チーフ)に就任すると、
給与が数万円上昇するのが普通です。
10年目現在(チーフ)
従業員数が4,000人程の給食会社へ転職し、大手企業の社員食堂でチーフと
なりました。転職したことで、月給が3万円程アップしました。
- 雇用形態:正社員
- 月給:27万円
- 賞与あり(1ヵ月分×2回)
年収に換算すると378万円となります。「10年目で月給27万って安くない?」と
思われる方もいるかもしれませんが、給食調理員の月給が30万円を超えるのは
本当に大変です。30万円を超えるには、更に高給な給食会社に転職するか、
あるいは現場の一線から退いて、エリアマネージャーなどの管理職になることです。
2: 給食調理員の給料が低い原因
2.1 総労働時間が少ない
一番の理由は、勤務時間と勤務日数が関係しています。例えば、給与の高い
居酒屋やファミリーレストラン等の店長職では、一日の拘束時間が長く、勤務日数も
多くなる為、それに見合った高給となります。給食調理員は、食堂施設の営業時間や
営業日に基づいて勤務時間・勤務日数が決まる為、居酒屋やファミレスにに比べると
総労働時間が少なくなり、必然的に給与も低くなります。
2.2 残業代・賞与が出ない
給食に限らず飲食業界全般に言えることではありますが、この業界では「残業代」という
概念がとても薄いです。企業によっては残業代を積極的に支給するところもあるかも
しれませんが、実際にはサービス残業となる場合が圧倒的に多いです。
店長(チーフ)へ昇格すると、調理業務の他に、売上の集計作業や発注作業、
パートさんのシフト管理など細かな事務作業が発生してきますが、これらの作業内容も
含めた上での月給というのがスタンダードです。
2.3 昇給ペースが遅い
給食調理員の昇給ペースはゆるやかであり、一般のサラリーマンのように細かな職位や
昇進試験によって給与が急上昇する訳ではありません。毎年3,000円〜5,000円程の
定期昇給が普通であり、成果によってベースアップがある訳でもありません。
3: 給料を上げる為にすべき事
給食調理員の給与が低いとはいえ、少しでも給与アップさせたいのが人情だと思います。
そこで、可能な範囲内で、確実に給与アップする手段をご紹介させて頂きます。
3.1 調理師資格を取得する
当たり前のことではありますが、調理師資格を取得することは非常に重要です。
というのも調理師資格の有無で応募できる求人数が段違いですし、スタートの基本給も
2〜3万円異なります。管理人の場合、職業訓練校卒業後に調理師資格なしの状態で
就職活動を行いましたが、調理師資格があればもっと有利な条件で就職できたという
確信がありました。調理専門学校の卒業生の方であれば、スタートから有利な条件で
働くことできるのは羨ましい限りです。
3.2 店長(チーフ)に昇格する
大幅なベースアップには、店長(チーフ)への昇格が必須です。店長に昇格すると、
パートさんや社員など人の管理指導も業務範囲となる為、責任やストレスも
増えますが、それは一般のサラリーマンでも同じです。店長への昇格条件は、
給食会社によって異なりますが、大量調理のノウハウがある程度身につけば、
2〜3年でなることも可能です。店長経験は、転職する時のアピール材料にも
なりますので、ぜひ恐れずに挑戦してみることをオススメします。
3.3 給与の高い会社へ転職する
最終的に給与アップする為には、別の給食会社へ転職するしかありません。
給食会社は多くあり、会社によって実は給与設定も異なります。基本的には、
小規模な給食会社よりも、従業員の多い大きな給食会社の方が給与は高いです。
但し、全国展開している大規模な給食会社は、異動で地方勤務もあり得る為、
あえて小規模な給食会社で働き続ける方が、メリットが大きい場合もあります。
4: 給料の低さを補うメリットは?
ここまで、給食調理員の給与の低さばかりにスポットを当ててしまいましたが、
給食調理員にはそれを補ういくつかのメリットもありますのでご紹介しておきます。
(あくまで管理人の主観になりますので、参考までにしてください)
4.1 昼食代が安い(まかない)
給食調理員の最大のメリットは、やはり昼食代が格安で済むことだと断言します。
大体どの職場でも、100〜150円でまかないを食べることができます。まかないの内容は
その日に調理した昼食メニューであることが大半です。学校給食や社員食堂どちらの
場合においても、献立メニューは栄養バランスが取れていますので、毎日格安で健康に
良い食事が取れるのは非常にありがたいことです。一般のサラリーマンの昼食代が仮に
1日500円だとしても、1ヵ月で10,000円以上の差が生まれる計算になります。
4.2 消耗品が無料支給(服・靴)
地味に嬉しいのが、現場で身につける作業服や靴などの消耗品が無料支給される
ことです。一般のサラリーマンであれば、スーツ、ワイシャツ、ネクタイや革靴に至るまで
自費で購入しなければなりませんので結構な出費です。しかも、給食調理員の場合、
出社時の服装は私服OKの会社が多いため、堅苦しいスーツを着なくても構わない為
通勤もとても快適です。
4.3 飲み会がほぼない
給食調理の仕事は、一般のサラリーマンと比べると格段に飲み会は少ないです。
これは現場によって異なるという訳ではなく、どの現場においてもほぼ同じです。
具体的な頻度でいえば、現場メンバーでの飲み会は年1〜2回程度です。
サラリーマンの悪しき(?)慣習とも呼べる飲み会は、管理人にとっては時間と
お金のかかる大きな悩みでしたので、飲み会がほぼないという理由だけでも
給食調理の仕事に就いて良かったと感じています。
5: まとめ
給食調理員の給与は、一般的なサラリーマンに比べると確かに安いかもしれませんが、
給食調理員の仕事は出費が少ないというメリットがあり、総合的には悪くないと思います。
私の前職の銀行員時代は、昼食と飲み会で毎月5万円は飛んでいたので、
節約できる今の状況では、手元に残るお金は前職とトントンといったところです。