給食調理員として初めて働き始める時の心得は?

 

給食調理員として、初めて給食現場で働く際は不安が押し寄せてくるはずです。

 

例えば、正社員・契約社員として入社して、調理をメインに携わるのであれば、
調理技術を習得するうえでは、何を心掛けるべきか?
先輩社員と上手くやっていくには、どう接するべきか?

 

あるいは、パートタイマーで入社して、盛り付けや洗浄をメインに携わるのであれば、
パートタイマーの同僚と上手くやっていくには、何を心掛けるべきか?

 

といった点で、心配する方が多いのではないかと思います。
ここでは、管理人の現場経験から、社員・パートタイマーそれぞれの視点から
給食現場で初めて働き始める上での、心構えなどついて詳しく解説します。

 

心構えができていると、働き始めてからの気持ちも楽になるかと思いますので、
ぜひ参考にしてみてください。。(^ ^)

 

 

 

1: 現場でうまくやっていく為の心得

 

給食調理員として働くにあたって、特に大事だと感じることを3つに絞りました。
あくまで管理人の個人的意見ですが、参考になれば幸いです(^ ^)

 

1.1 「素直」であることを心掛ける

給食調理員(=調理師)として働く上で、おそらく最も大事なのが「素直さ」だと感じます。
なぜかといえば、一つは素直な人は偏見を持たずに実践するので成長が早いことと、
もう一つは教える側も気持ちよく教えられるので、良い人間関係が築ける為です。

 

ですから、中途半端に調理経験がありプライドを持っている人よりも、他の職種から
給食の世界に転職してきた人の方が、伸びしろがあるパターンが多いです。
個人的には「積極性」よりも「素直さ」の方が遥かに大事だと思っており、
引っ込み思案で大人しい性格であっても、素直な人は周りから可愛がられますし、
多くのことを教えてもらえるので着実に成長していきます。

 

1.2 包丁の使い方は独学しておく

調理師の世界では必ず包丁を使います。給食調理員も例外ではなく、学校給食では
毎日生野菜を大量にカッティングするので、それなりに包丁の技術が必要になってきます。
社員食堂などでは冷凍野菜を多く使うこともありますが、それでも生野菜をカッティング
する場面は普通にありますので、やはり包丁の技術はソコソコ身につける必要があります。

 

就職が決まった時点で包丁に自信が無くても、それほど心配する必要はありませんが、
基本となる切り方(乱切り・短冊切り・千切りなど)をあらかじめ身に着けておくと、
スムーズに仕事がスタートできるかと思います。
切り方に関しては、料理本よりも、
今は動画の方が分かりやすいです。YouTube等で検索するといくらでも出てきます。
切るスピードは仕事を続けていると、自然と早くなるので心配いりません。

 

1.3 短期目標でモチベーションを保つ

調理専門学校を卒業して給食調理員となるのか、職業訓練を経て給食調理員と
なるかで状況が異なりますが、いずれにしても短期目標を設定することは大事です。
例えば、「まずは一年間続けてみる」といったシンプルな目標でも構いません。
職業訓練を卒業して給食調理員となった方であれば、2年続ければ調理師資格の
受験資格が手に入りますので、それを目標にするのも良いかもしれません。

 

仕事に慣れてくると、どうしても漫然と仕事をこなしモチベーションが保ちづらくなります。
モチベーションを保てるのであればどんな目標でも構いませんが、個人的意見としては
短い区切りで目標を設定をすると、日々の仕事にハリが出ると思います。

 

1.4 人間関係と気を付けるべき点

社員として入社すると、店長・先輩社員・パートさん・お客様と毎日接します。
その際に、気を付けるべき点も多々ありますので、勤務開始する前に知っておくと
よい点を下記ページにまとめました。参考にしてみてください。

 

>給食調理の人間関係は大変?店長・先輩・パートさんとの付き合い方

2: 各調理方法のポイント

 

給食調理員として働く上で、色々なメニューをいずれは作れるようになる必要があります。
中には、大量調理特有の調理マシーンもありますので、使い方に慣れるようにしましょう。
ここでは、管理人のこれまでの実務経験から、各調理方法を学んでいく上でのポイントを
簡単にご紹介しておきます。

 

2.1 焼き物

焼き物の代表格は、肉のソテーや焼き魚です。特に、社員食堂では鶏・豚肉のソテー、
焼き魚(鯖・鯵・秋刀魚)はよく登場します。肉や魚を焼く時は、「スチームコンベクション」
というオーブンと蒸し器を合体させたような大量調理機器で調理するのが一般的です。

 

この「スチームコンベクション(スチコン)」の使い方を覚えましょう。例えば、ソテーならば
「何℃で何分焼けば外はコンガリ、中はジューシーな出来上がりになるのか」という点を
意識して、店長や先輩社員の焼き方を観察しましょう。実は、温度や時間は人によって
異なるケースが多く、例えば塩サバを180℃のオーブンで13分焼く人もいれば、200℃で
10分で仕上げる人もいます。どちらも火は通りますが、「肉・魚は高温短時間で焼く」
という鉄則に照らし合わせるのであれば、後者の方がオススメと言えます。

 

また、スチームコンベクションは焼くだけでなく、高温で焼き色を付ける場合にも使います。
例えば、マヨネーズや味噌ダレなどを肉や魚の上に乗せ、250℃〜280℃くらいの高温で
数分加熱すると、表面にコンガリとした綺麗な焼き色がつきます。

 

2.2 蒸し物

スチームコンベクションは蒸し器としても使うことが可能です。例えば、鶏肉を蒸したり
野菜類を蒸したり、餃子や焼売などのお惣菜を蒸し上げることもよくあります。
「蒸す」のは「焼く」よりは遥かに簡単ですので、あまり慎重になる必要はありません。

 

木製やステンレス製などの蒸し器は、蒸気を充満させて使用しますので、中の温度は
おおよそ90℃台で100℃を超えることはありません。ですから、スチームコンベクションで
「蒸す」場合も、庫内温度の設定は90℃〜99℃の範囲で設定しておくと良いでしょう。
ちなみに、管理人は常に98℃設定でスチーム機能をを利用しています。(^ ^)

 

2.3 揚げ物

集団調理では一度に大量の揚げ物を行いますので、「フライヤー」という調理機器が
設置されている現場が多いです。揚げ物は、加熱調理の中では、焼き物や炒め物に
比べれば簡単な調理方法であり、中心温度をしっかり確認しながら揚げていけば
あまり恐れることはありません。

 

一番怖いのは「半生」の状態で、提供してしまうことです。例えば、パン粉付けした
トンカツを揚げて、余熱を利用して火を通そうと試みたはいいが、キチンと中まで
火が通ってなかったというケースは割とよくあります。「半生」で提供してしまうと、
食べられないだけでなく、食中毒の危険性もありますので十分に注意しましょう。
「半生」で提供するよりは「揚げすぎ」の状態で提供する方が何倍もマシですので
慣れないうちは中心温度はキッチリと計る癖をつけましょう。

 

ちなみに食堂のメニューでは「フライ」が頻繁に登場します。現場によって既にパン粉が
付いている冷凍食品を使用することもあれば、生パン粉をキチンと付けて揚げることも
ありケースバイケースです。

 

2.4 炒め物

炒め物は、大量調理スキルが問われる調理方法の一つです。大量調理の現場では
一度に100食以上の食材を炒めることのできる「回転ガマ」や「ティルティングパン」を
利用することが多いです。ガス火で調整するモノもあれば、電気制御のモノもあるので
現場ごとの機器の特徴をおさえましょう。

 

大量調理では肉や野菜を一度に大量に炒める為、家庭と同じやり方で炒めると
おそらく失敗します。特に、野菜を大量に炒めると、大量の水分が出てきますので
お客様に提供する頃にはグズグズになっている可能性が高いです。

 

その為、コマ肉やバラ肉はあらかじめ湯がいて火を通しつつアクも取っておきます。
水分の多い野菜、例えばキャベツやタマネギなどはスチームコンベクションの「蒸す」
機能で加熱し、予熱しつつ水分をあらかじめ出しておきます。すると、調理完了後も
炒め物のシャキシャキ感が長持ちします。

 

2.5 煮物

煮物は基本調理技術が身についていれば、それをそのまま応用するのみです。
人参や大根などの根菜であれば、あらかじめ下茹でします。スチコンで煮物を
作ることももちろん可能ですが、煮物に関しては鍋で火にかけて作った方が
細かい調整ができるので上手にできる気がします。

 

但し、煮魚などを沢山作る場合は、スチコンで行ってしまった方が楽だと言えます。
例えば、サバの味噌煮はスチコンを利用して作れば、数十食分が一度に出来るので、
ぜひ積極的に活用しましょう。煮物を作る場合は、スチコンを「オーブン」モードで
使用します。温度設定はおおよそ150℃前後か良いかと思います。

 

2.6 生野菜

給食でサラダ等の生食野菜を提供する場合は、次亜塩素酸ナトリウムや熱湯で
消毒したモノを提供します。生野菜には土壌菌が付着している可能性があるので、
真水で洗っただけでは不十分である為です。

 

一般的には6%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に生野菜を10分程浸して、
水でよく洗い流すという手法を採用している現場が多い気がします。特に、
キュウリやキャベツ、トマトなどの水分の多い野菜は、定食の付け合わせとして
利用することも多いため、消毒はしっかりと行う必要があります。

3: パートタイム従業員の心得

 

パートタイム(アルバイト)として給食現場で働く人の殆どは、40代〜60代の女性です。
年齢も性格も異なるので、上手くやっていくのは大変だと思うかもしれません。
実際、入社しても仕事がなかなか覚えられなかったり、同僚との人間関係に悩み、
それがストレスとなり短期間で辞めてしまう女性もいます。

 

管理人が働く上で大切だと思うのは、「ストレスを極力ためず気持ちよ良く働く」ことです。
その為には、いくつかの心掛けが重要になってくると考えます。

 

3.1 仕事内容は「慣れ」が解決する

パートタイマーとして働く場合、担当する業務は主に盛り付け・洗浄等になるはずです。
食材を切ったり調理に参加する場合もありますが、それらは主に社員が担当します。

 

献立メニューは管理栄養士が作成するのですが、おおよそ一ヵ月をワンクールとして
毎月パターン化されています。ですから、盛り付けに関しては、同僚と共同で作業し、
何度も繰り返すうちに自然に覚えるはずです。洗浄に関しては、大きい現場であれば
食器洗浄機がありますので、使い方さえ覚えてしまえば心配ありません。

 

体力仕事ではありますが、仕事内容は結局のところ「慣れ」が解決してくれます。

 

3.2 人間関係が全てのカギ

 

問題は、人間関係だと思います。管理人が働いてきた現場で、辞めてしまった
パートタイマーさん方の退職理由の8割は、人間関係に原因があったと感じます。

 

店長あるいは同僚女性とソリが合わなかった。」というパターンが殆どです。
店長が異動するまで我慢できる方や、同僚女性が辞めるまで待てる方も
稀にいますが、殆どの場合は退職を選んでしまいます。

 

正直、人間関係に恵まれるかどうかは「運」の要素が非常に大きいと思います。
こればっかりは、実際に働いてみないと分からない場合が多く、ソリが合う合わないは
人によっても感じ方が異なるので、入社前に見極めるのは難しいです。

 

3.3 人間関係の悩みを減らすには

ただ、心構えによって悩みが徐々に解決されるケースがあったり、職場の選択の仕方に
よってはアタリの職場を引き当てられる可能性が高くなります。
管理人の主観になりますが、参考にしてみてください。

 

@仕事を覚えるまで我慢する

「心構え」に関してですが、入社して仕事を一通り覚えるまでの最初の2〜3カ月は
精神的にツライかもしれません。指導にあたる同僚の態度がキツイこともありますが、
それは新人さんの真剣味を試しているケースがあります。

 

しかし、仕事を一通り覚えて半年ほど経過すると、キツかった同僚の態度が軟化し
フレンドリーに接してくれるようになったというパターンも沢山みてきました。つまり、
それは同僚からの信用を得られ、認められたという証拠でもあります。

 

ですから、仕事を一通り覚えるまでの3ヵ月〜半年は耐えてみると良いかもしれません。

 

A小規模な職場を選ぶ

給食の現場は、実は沢山あります。学校給食だけでなく、社員食堂や社員寮、
介護施設や病院、クリニック、保育園など現場の規模は大規模な所から小規模な
所まで様々です。そこで、管理人がお勧めしたいのが小規模な現場です。

 

大規模な現場になると、当然そこで働く人数も多くなります。逆に、小規模な現場、
例えば社員寮やクリニック、営業所などは食数にもよりますが、店長一人とパートさん
2〜3人で回している現場も沢山あります。そういった小規模な現場の方が、
関わる職場の人数も少ないので、心理的負担は小さくなると思います。

 

B早めに見限って辞める

最後の手段としては、早めに見限って辞めるのも手です。前述したように、実は給食の
求人はとても沢山あるので、入社して「職場の雰囲気が耐えられそうもない」とか
「同僚でこの先どうしても上手くやっていけそうにない人がいる」と感じた場合は、
早々に見切りを付けて、試用期間中に退職するのも悪くないと思います。

 

パートタイマー(アルバイト)の良さは、社員よりもフットワークが軽い点にあると
思うので、もし、毎日大きなストレスを感じるような職場であれば気落ちせずに
職場を変えましょう。「ストレスを溜めずに気持ちよく働ける」現場であるかどうかは、
人間関係が大きく影響ますので、職場を変えてしまうのが一番の有効手段です。

4: まとめ

 

私が調理補助として初めて給食現場で働き始めたのは10年以上前の話ですが、
非常に緊張したことを今でも覚えています。最初は備品の場所も分からず、
作業の流れも分からない為、効率的に動けず非常にもどかしく感じました。

 

慣れて自分で仕事が回せるようになってくると、給食調理員の楽しさも徐々に
分かってきました。これから働く皆さんも、ぜひ頑張ってみてください(^ ^)