お米を一度に大量に炊く時の水加減は?

 

お米を上手に炊くには、知っておくべきいくつかのポイントがあります。
特に、食堂や学校などの給食現場で、一度に大量にお米を炊く必要がある場合は
米量と水加減の関係については必ず知っておくべきでしょう。

 

当ページでは、お米を日々大量に炊いている給食調理員としての立場から
お米を上手に炊く方法を解説します。

 

 

 

1: お米を炊く流れ

お米を炊く(炊飯)のステップは大きく5つに分かれます。
それぞれの工程でポイントがありますので、しっかりと押さえてふっくらとした美味しい
お米を炊けるようになりましょう。

 

1.1 洗米

洗米とは、米粒に付着しているゴミやぬかなどを洗い流すことを言います。
一昔前までは、米粒同士をこすり合わせる「研ぎ洗い」が一般的でありましたが、
近年では精米技術が進歩したおかげで、精米後のお米にぬかが付着しにくくなり
かるく混ぜ洗いする程度で十分になりました。

 

洗米する際は、ボールに米と水を入れ最初の1回目のみササッと素早く洗って
水を取り替えることに気を付けましょう。精白米は10〜15%程の水を吸水しますが
1回目は吸水量が特に多いため、ゆっくりと洗うとぬかの溶け出た水を吸収してしまい、
出来上がりに影響してしまいます。

 

1回目を素早く洗った後は、2〜3回洗えば十分です。洗い過ぎは米が欠けて
しまいますので、逆効果となります。

 

1.2 加水(水加減)

次に加水となりますが、出来上がりに大きく影響するのが加水量(水加減)です。
基本的に、加水量はコメの重量の1.4〜1.5倍であり、容量で1.1〜1.2倍が
一般的となっています。米を炊くときは、計量カップなどを使用して容量計算で炊く
場合が多いので、容量で加水量が分かるようにしておくと便利です。

 

ちなみに、「米一合」や「米一升」といったよく聞く単位については下記表の通りなので
重量・容量について知識があやふやな方は、このタイミングで覚えておくとよいでしょう。

 

 

単位 重量 容量
一合 150g 180cc
一升 1.5kg 1800cc

 

ちなみに、新米は含有水分が多いため、加水量が通常の米よりも少なくなります。
一方、古米や無洗米については、通常の米よりもやや多めにします。

 

1.3 浸漬

浸漬(浸水)は、米のでんぷんの糊化に必要となる水分を吸収させるための下準備
となります。米の水分の吸収速度は、水の温度が低いほどおそくなります。浸漬時間は
冷たい水で最低30分を目安にすると良いでしょう。

 

1.4 加熱

加熱の工程は、温度上昇期・沸騰期・蒸し煮期の3つに分類されます。炊飯器の
スイッチを入れて加熱開始から沸騰までの間を「温度上昇期」と呼びますが、
沸騰までの時間が短いと、水分が米内部まで浸透しないうちに表面の糊化が
始まり、芯のあるお米になりやすいです。これが「お米は冷水で炊く」と言われる所以です。

 

電気炊飯器で炊く場合は気にする必要はありませんが、文化鍋などで炊く場合は、
「沸騰期」は米粒の対流によって吹きこぼれないように、弱火で20分以上ゆっくりと
炊くことが重要です。「赤子泣いても蓋とるな」と言われる通り、鍋の中の温度は
常に98℃以上を保つように気を付けます。

 

1.5 蒸らし

20分以上にわたって炊いた後は、火を止めて10分程そのままにして内部を蒸らします。
蒸らしの目的としては、米粒表面の水分を内部まで浸透させ、ふっくらとした美味しい
お米にする為です。蒸らしを行わないと、米のベタつきの原因になります。

 

蒸らした後は、しゃもじで手早くお米をほぐし、余分な水蒸気を逃がしてあげます。
そうすることでお米の水分量が均一になり、ふっくらとした仕上がりになります。

2: お米を大量に炊く時の注意点

食堂や学校給食などの調理場では、食事を提供する人数も何百人単位の為、
一度に大量のお米を炊くことになります。そこで一番重要となるのが加水量です。
お米の量に対して、どれくらいの水加減がベストか?」といった点を知ることは
大量調理の現場で働く上では非常に大切なので、ぜひ覚えてください(^ ^)

 

ここでは、お米を炊く際の3つの注意点を解説します。

 

@ 重量でなく容量で測る

 

基本的に、お米を炊く際は計量カップ(容量)で米と水を測れるようになりましょう。
米と水をそれぞれキッチンスケールで測る方法は、時間がかかって非効率ですし、
キッチンスケールの電池が切れている場合も考えられます。

 

また、よくある失敗パターンとして、米や水を測る前に容器の重さをリセットせずに
計ってしまい、水の加水量を間違ってしまうケースも考えられます。ですから、
基本的にはキッチンスケールには頼らずに、計量カップのみを使用して加水量を
覚えられるようにしましょう。

 

A 加水量は単純計算しない

加水量は、重量計算で米の1.4〜1.5倍、容量計算で米の1.1〜1.2倍と
一般的に言われていますが、実は単純計算して炊くと失敗する可能性が高いです。
例えば、実践してみると体感できますが、米2升でうまく炊けた加水量だからといって
米4升を2倍の加水量で炊くと、ベチャベチャな仕上がりになります。

 

一つの電気炊飯釜で炊く米の量は、大量調理の現場であれば2升〜4升が
スタンダードですが、次の加水量で炊くと上手く炊きあがります。(多少硬め)

 

 

加水量早見表(気持ち硬めで炊く場合)

米の容量 水の容量 米÷水の割合
2升(3,600cc) 3,000cc 0.83
3升(5.400cc) 4,200cc 0.77
4升(7.200cc) 5,200cc 0.72

 

炊く米の量が増えるにつれて、「米に対する水の割合」が徐々に減っていることが
分かります。加水量は、夏場や冬場の室内温や、米の鮮度(古米、新米)によって
多少変動はあるものの、そこまで神経質になる必要はありません。

 

一度炊いてみて、「ちょっと柔らかいかな?」と思ったら次の日は加水量を少し
減らせばいいし、「ちょっと硬いかな?」と思ったら加水量を増やせばいいのです。
調整する水の量は、100cc単位で行うと良いと思います。50ccですと殆ど変化が
ないですし、150cc以上だと炊き上がりが大きく違ってきます。

 

B 手の平で加水量を覚えておく

 

米に加水する作業をしていると、「あれ、今水何カップ入れたっけ?」とド忘れする
ことが稀にあるかもしれません。(管理人はたまにありました^ ^;)
そんな時の為に、普段から加水した炊飯ガマに手のひらを浮かべてみて、水カサが
どれくらいになるかを体で覚えておくと安全です。例えば、「水が中指の第二関節まで
であれば4升炊きの加水量だったな」といった具合です。

 

つまり、「数字」と「感覚」の両方をフル活用して、米の炊き方を習得しておけば、
失敗は極力防ぐことができますし、安心して作業を行うことができます。
大量調理の現場では炊くお米の量が多く、失敗すると損失も結構大きいので、
確実に炊けるようになりましょう。

3: その他の注意点

 

大量調理でお米を炊く際の、その他の注意点についてご紹介しておきます。

 

3.1 蒸らし時間はたっぷり取る

 

お米を大量に炊く場合、蒸らしの時間がわりと重要です。
電気炊飯ガマには通常蒸らしの機能が付いており、炊飯のスイッチを入れてから
炊き上がりまで30分〜40分ほどです。ただ、この時点で蓋を開けて米をシャモジで
ほぐすのはまだ早いです。特に、4升くらいになると米の層が厚くなっているので、
蒸気が米全体に十分に浸透しておらず、底側と上側の米でムラがある状態です。

 

ですから、「ピーッ」と炊飯完了の合図が鳴ったら、そこから更に20分〜30分ほど
放置して蒸らし時間を長めに取ることをオススメします。そうすることで、米全体に
水分が行き渡り、ムラの無い状態になります。その後は通常通り、シャモジで
米全体をよくほぐしてあげて、米がべた付かないよう蒸気を逃がしてあげましょう。

 

3.2 大量調理では気持ち硬めに炊く

 

大量調理では、炊き上がったお米は炊飯ジャーか、コンテナ(通常は青色)に
移し替えます。ただ、米の量が非常に多いため、柔らかめで炊いてしまうと、
時間が経過するにつれて下の方のお米が上の方のお米の圧力によって、
潰れてきてしまいます。

 

気持ち硬めに炊いておくと、お米一粒一粒ががピーッンと立った状態になるので、
下の方のお米が時間が経っても潰れにくくなるというメリットがあります。
ただ、お米の炊き上がりの硬さは、その現場のチーフ(店長)に確認した上で、
決めるようにしましょう。

 

3.3 文化鍋でも炊けるようにする

通常、電気炊飯ガマで炊く現場が多いと思いますが、万が一電気炊飯ガマが
使用できなくなった時を想定して、文化鍋でもお米を炊けるようになっておくことを
オススメします。「鍋でお米を炊くのは難しいのでは?」と感じるかもしれませんが、
慣れてしまえば簡単ですし、鍋でなくフライパンでも炊くこともできます。

 

鍋でお米を炊くときに重要なのは「時間」と「火加減」です。特に、初心者は
強火で炊いて焦がしてしまいがちですが、最初から最後まで弱火で炊いても
上手く炊けますので、「鍋で炊くときは弱火」ということを覚えておきましょう。

 

4: まとめ

 

炊飯は一見簡単に思えますが、ふっくらとしたツヤのある美味しい米を炊くのは
慣れが必要です。ただ、米と加水量の関係を理解しておけば、大失敗することは
まずありませんので、しっかりと頭に入れておきましょう。

 

ぜひご紹介したくポイントを参考にして、美味しいお米を炊いてください。(^ ^)